「不思議人」

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そもそも何の勝負だ? 「じゃぁ、俺が負けたから、今日は海老フライね」 「・・・・勝ち負け関係ないだろう」 深く溜め息をついて、ソイツが望む『海老フライ』が置いてある定食屋に入った。 しかし、カウンターに並んで腰かけていると、無性に虚しくなってきた。 「旨いか?」 美味しそうに海老フライを食べているソイツ。 「旨い!」 「良かったな」 えへへへ、なんて照れ笑いをされても、全然嬉しくない。 「せめて、可愛い女の子だったら・・・・」 でも、女の子だったらこんな定食屋に連れてこれないかもな。 「なんか言った?」 「いいから、食ってろ」 僕は自分の海老フライを一本、ソイツの皿に入れた。 「おぉう、いいの?」 「あぁ、」 「サンキューです」 まぁ、独りで虚しく休日を過ごすよりはましか、と開き直ることにした。 店を出て歩いていると、何故かパトカーとよくすれ違う。 「パトカー、多くないか?」 満足感で鼻歌まで唄っているソイツに尋ねる。 「気のせいでしょ?」 まぁ、そうか。 特に話す事もなく、ただただ自宅に向かって歩いた。 すると、また、あの道に差し掛かりソイツが止まった。 またかよ、そう思い苦情を言おうと見上げると、ソイツは不思議そうな顔をして指を指した。
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