1人が本棚に入れています
本棚に追加
そもそも何の勝負だ?
「じゃぁ、俺が負けたから、今日は海老フライね」
「・・・・勝ち負け関係ないだろう」
深く溜め息をついて、ソイツが望む『海老フライ』が置いてある定食屋に入った。
しかし、カウンターに並んで腰かけていると、無性に虚しくなってきた。
「旨いか?」
美味しそうに海老フライを食べているソイツ。
「旨い!」
「良かったな」
えへへへ、なんて照れ笑いをされても、全然嬉しくない。
「せめて、可愛い女の子だったら・・・・」
でも、女の子だったらこんな定食屋に連れてこれないかもな。
「なんか言った?」
「いいから、食ってろ」
僕は自分の海老フライを一本、ソイツの皿に入れた。
「おぉう、いいの?」
「あぁ、」
「サンキューです」
まぁ、独りで虚しく休日を過ごすよりはましか、と開き直ることにした。
店を出て歩いていると、何故かパトカーとよくすれ違う。
「パトカー、多くないか?」
満足感で鼻歌まで唄っているソイツに尋ねる。
「気のせいでしょ?」
まぁ、そうか。
特に話す事もなく、ただただ自宅に向かって歩いた。
すると、また、あの道に差し掛かりソイツが止まった。
またかよ、そう思い苦情を言おうと見上げると、ソイツは不思議そうな顔をして指を指した。
最初のコメントを投稿しよう!