「不思議人」

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「あれは、親子?」 「あ?」 示した先には、若い男性と小学生位の女の子がいた。男性が自転車を押しながら歩き、女の子が寂しそうな顔で歩いている。 第一印象としては『随分若いオヤジだな』という感じ。 寂しそうな女の子の様子も気になる。 「多分、兄妹とか?」 僕は自分の納得がいく範囲内の感想を述べた。 だが、疑問が頭を過る。 「でも、顔とかが、似てねーな」 「だよね」 どうやら、ソイツもそう思ったらしい。 僕が悩んでいると、ソイツが意気なり不思議な行動をとった。 「あ、おい!」 「鞄、貸してよ」 「何でだ、待てよ!」 僕の鞄を引ったくるかのように取り上げると、ソイツは一目散に走っていった。僕の鞄をどうする気だ! ソイツが若い男性の前で止まる。 女の子がソイツを見上げる。 笑顔を浮かべ、話をするソイツ。 すると、鞄の中から僕の黒い手帳を取りだし、一瞬で隠す。 「僕の手帳を見せる必要があるのかよ」 意味不明な行動に頭が痛くなる。 すると若い男性は真っ青な顔で、明らかに挙動不審な行動をとり始めた。 『ガッシャーン』 と、自転車から手を離す。 その音に驚いたのか、女の子が泣き出した。 そして、若い男性が、僕に向かって走って来る。
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