「不思議人」

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「な、なんでこっちに来るんだよ!」 若い男性の真っ青な顔がどんどん近付いてくる。 すると、遠くから叫び声が聞こえてきた。 「奴を捕まえて!誘拐犯だ!」 「えっ」 僕は猛スピードで走ってくる若い男性に、足を引っ掛けた。 「うぁぁあ!!」 情けない声が聞こえたとおもったら、見事に前のめりに倒れた。 その隙を狙って、背後から馬乗りになる。 「っぅ、離せ!」 若い男性は僕を睨み、必死にもがいた。 すると、荒い息をした、僕の鞄を引ったくった不思議人が近付いて来た。 「そ、そいつ、あの、女の子を、」 はぁ、はぁ、っと短距離にも関わらずソイツは既に倒れてしまいそうに見える。 「いいから、離せ!」 僕の下で這いつくばっている若い男性がまだもがき続けていた。 すると、どこからともなくパトカーのサイレンが聞こえてきた。 「ご協力、ありがとうございます」 警察官に両手を捕まれ、まるで宇宙人が捕まった写真のような若い男性が、パトカーに乗り込むと、僕とソイツは警察官に敬礼をされた。 「どーも」 「どう致しまして!」 疲れきった僕の横で、テンション高めのソイツが敬礼をしながら答える。 そして、パトカーが去っていった。
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