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谷乃江の視線の先には、
グラウンドで暴力を振るわれている蒲田の姿があった。
「…た、竜哉…… あれ…」
恐る恐る視線の先を指差しながら飯島の方へ振り向く。
すると飯島だけで無く、
後の数人も顔を真っ青にした。
「あ… あぁ……… うん。」
驚く友達をよそに、
咄嗟に谷乃江は駆け出そうとした。
…が、
直ぐに飯島に腕を掴まれてしまった。
「やめとけ恵!!」
「何で!?助けなきゃ…!!」
蒲田を助けるべく飯島の手を振りほどこうとする谷乃江に、
飯島は一喝した。
「無理だ!仮にもあいつらは先輩だぞ!?」
「でも…… でも… っ」
そんな事は分かっている。
きっと自分1人があの中に入って行った所で、勝ち目は無いだろう…
でも、
凄く辛いのだ。
物凄い怒りが自分を満たして行くのだ。
…自分の愛する人が傷付けられているのだから。
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