50-50 フィフティ・フィフティ

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ん……? 太腿の辺りに違和感を感じて、 私の瞼がゆっくりと開く。 辺りは、真っ暗。 目の前のスクリーンには、巨大隕石が火を吹きながら、地球に迫ってくるシーン。 緊急事態を知らせる英語の男の声。 いつの間にか私は、眠ってしまっていた。 あっ… 口から出そうになった声を私は、飲み込んだ。 私の右の太腿には、大ヒトデのような手が置かれていた。 ……男の手。 ぞぞっと全身に鳥肌が立った。 空いていたはずの隣りの席に、誰かが座っている。 空席ばかりなのに、不自然な行為。 痴漢だ…! 思い出ある大事な場所で、こんな目に会うなんて…! ふう…ふう…という荒い鼻息を首筋に感じた。気持ち悪い! 反射的に、ぱっと手で男の手を振り払った。 なのに、腿を軽く掴んだそれは、根を張ったように動かない。 ワタルとやる痴漢ごっこプレイは、嫌いじゃないけど、本物の痴漢は大嫌いだ。 見知らぬ男にタダで身体を触らせてやるほど、私はお人好しじゃないし。 イヤ。 お金を払われても困るけれど。
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