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ガストレアが出現し人類がモノリス内に立てこもり7年。
14歳になっていた俺、渡瀬司斗は友人数人と山中へキャンプをしていた。
―――――――
「おー、ここは星がよく見えるな」
「そうだね、ここは外周区だし街の光があまりとどかないからね」
男女で一台ずつ張ったテントの近くで山の開けた斜面に寝転び俺たちは夜空を見上げていた。
7年前のモノリス建造時からの混乱はほぼ沈静化し物資も多く出まわるようになった。
数年前まではこんなキャンプに来るなんて考えも出来なかっただろう。
しかしこれも仮初めの平和。考えたくはないがモノリスが一カ所でも破壊されればここ東京エリアは一瞬で地獄になる。
そんななかで生きる俺、俺たちはどう足掻けばいいのだろう?
「………なあ、おまえらは将来なんになるつもりなんだ?」
「なんだよ藪から棒に?……そうだな、俺は親父を継いで定食屋だな」
「僕は自衛官だね。モノリス周辺の駐屯地付きかな?」
「私は婦人警官になるわ。犯罪なんてしょうもないことをしてる連中を懲らしめてやるわ」
「わ、私は……か看護師に……」
全員将来のことを見据えている。俺は何も……
自分の将来だけがハッキリしていないことに正直へこむ。
「そういう司斗はどうなのよ?」
「……俺は、まだ無いかな」
「なんだよ、俺たちには言わせておいてそりゃないだろ。ちょうどいい今考えろ、今」
そんなこと言われてもな…考えつかないから無いわけだし。
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