第1章・三年前

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だが人々がその考えを変えることが出来れば少なくとも子供たちがあまり苦しまずに居られる世界がつくれるかもしれない。 願わくばそんな世界が一日でも早く彼女たちのもとへ訪れることを…… そう考えていると斜面の下の方の茂みからガサガサッという音が聞こえてきた。 「なに?タヌキ?」 「いや、そんな大きさの生き物が立てるような音じゃなかった」 「もしかして外周区の子供たちじゃないでしょうか?ここも外周区ですし……もしかして夕食の匂いに誘われてきたのかも」 「そりゃいい、捕まえて司斗のイニシエーターにしようぜ」 「よせ、俺たちみたいのが簡単に捕まえれる相手じゃない」 「おーい、うまい飯食わせてやるぞー。出て来いよ」 俺の話を聞かず茂みに呼びかけながら斜面を下っていく。 そんな事で姿を現すとは考えにくかったが茂みの中に消えていく姿を俺たちは見送った。 しかし、数分しても彼が帰って来ることはなかった。 「一体どうしたんだろ、あいつ?」 「道に迷ったのでは?」 「それ程大きな山ではないはずですけど……」 「…心配だな、俺が見てくる」 何か大きな胸騒ぎがして茂みの中へ歩いていく。 「司斗、気をつけて」 「ああ…そうだ。明かりをつけといてくれ、そうすれば迷っててもここが分かるだろう」 「分かったわ」 ライトをつけて木々を照らしながら辺りを探して進む。 あいつ、どこまでいったんだ? しばらく探し回るが一向に見つかる気配がない。本当にどこへ行きやがった?
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