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そうして次の足を踏み出した瞬間―――ベチャッ、という音と気味の悪い感触が足から伝わってきた。
「なんだ……一体?」
足元を照らした瞬間、視界いっぱいに赤一色が飛び込んできた。
「うっ………!?」
あまりの光景に口元を押さえる。
そこに広がっていたのは血と肉片、そして……引き裂かれたあいつの衣服。
肉片には何か大きな刃物で斬り裂かれたような跡が残っており即死したことが分かる。
―――――状況は明らかだった。ガストレアだ。
はぐれのガストレアがこの近辺を彷徨っているのだ。
ここにいたら………まずい!!
すぐさまライトを消し、明かりの見えるキャンプへ走った。
友人の死を悼むヒマはもう、そこには無かった。
道の悪い林の中を全力で走り明かりへと向かう。早くしなければここにいる全力が死ぬ!
………いや、待て何かおかしい。そもそもなぜ現場にいた俺はガストレアに襲われなかった?
林を抜けた瞬間、その答えは目の前に地獄を広げて待ちかまえていた。
飛散した血、何かで焼け焦げ炭化した肉片………
その地獄を俺はただ…ただ見ていることしか出来なかった。
ドスッと背後に重たい足音が聞こえてくるのに恐怖し、足が竦む。
なんとか首を後ろに捻ると二つの紅い瞳と目があった。
左肩に大きな痛みが走る。
そこまでしか俺は覚えていない
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