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次に記憶にあるのは病院でストレッチャーに運ばれ検査室に入っていく自分。
照明の下に固定され、採血から何から何まで自分の身体が調べ上げられていく。
そんな中、俺はただ照明を見上げながら放心していた。
未来について語り合った友を亡くして、心の整理がついていない。
少ししてカルテを片手に被り物とマスクの間から見える目元だけで不健康そうだと分かる女医が顔をのぞき込んできた。
「君を担当する室戸菫だ。結果を報告すると外傷等見た目に見える範囲の異常は一切無かった。その代わり体内、特に免疫に面白いものが見つかった。……聞くかい?」
一瞬逡巡したがゆっくりと頷く。自分の体のことはたとえどんな事だろうと知っておきたかった。
「そうか、なら教えよう……」
そして、俺は自分について知った。
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