第2章・爪を隠した民警

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翌日、マンションの駐車場に大きいギターケースを背負った友伊と一緒に足を運び、一台のオートバイの前で立ち止まる。 俺の愛車、ハーレーダビッドソンだ。 シリンダー錠を外し、友伊にヘルメットを被せて後ろに乗せる。 俺もダビッドソンに跨がりヘルメットを被りキーを回す。 エンジンに火が入り大きな音を奏でる。 「友伊、落ちるなよ」 「落ちません!いったい何年乗ってると思ってるんですか」 「何年って、それ程乗ってないだろ。せいぜい5、6ヶ月ぐらいじゃないか?」 「言葉のあやです!それより、遅刻しますよ!!」 「はいはい」 ダビッドソンを走らせて大きい道にでる。大通りには人や車が行き来してここが閉鎖されたモノリスの中とは思えない活気がある。 ここだけ見ればガストレア大戦なんて無かったように思えるが一歩外周区に出ると景色は一変する。 モノリスとの数キロの間平地と朽ちた建物が立つ親に捨てられてしまった呪われた子供たちの生活地域、それが外周区の実態だ。 そんな事を考えながら大通りを外れてわき道にそれる。 しばらく走って駐車場にダビッドソンを止めてとあるビルに入る。 そのビルの二階、そこが俺たちの所属する天童民間警備会社だ。ちなみに上と下には闇金とゲイバーが。 こんなところに人なんて寄り付かないと思うんだが……社長の心中が気になる。
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