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「何を誤ったのだね?」
ああ、旦那様。
彼女は、金糸雀ではありませんでした。
あれは、雲雀だったのです。
金糸雀ならば、鳥籠の中で歌いましょう。
ですが、雲雀なれば。
雲雀は、天の栄え地の恵みを、空で高らかに謳うもの。
旦那様のサロンで歌う生き物ではございませんでした。
旦那様を失望させ、彼女を鳥籠に入れてしまった、それが私の罪でございます。
ですから、私は雲雀を逃がしたのでございます。
そして、旦那様にこの身を処分していただくのです。
公明正大で心優しい旦那様。
どうか、私も彼女の共犯者として盗難に関わった罪人へのご処分を賜りますよう。
私の告白に旦那様はまた嘆き、合図を出されました。
この身に幾つもの弾が撃ち込まれ、私は地に倒れました。
最期に見上げた空は蒼く。
旦那様。
雲雀は、空で謳うものでございます。
終.
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