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雲雀は謳う
旦那様は、たいそう悩んでおられました。
「何がよいだろう。名案が浮かんだら教えておくれ。」
旦那様は、大層裕福で身分の高い貴族でいらっしゃいます。
多くの使用人を抱えておいでですが、私ども使用人にも慈悲深くお優しいお方です。
私どもは、旦那様にお仕え出来ることを、誇りに思っております。
旦那様を悩ませていること。
それは、チェンバロなのでした。
ハープシコードとも呼ばれるその楽器は、二段の鍵盤がついており、底板と側面には当代きっての画家によって美しい絵が描きこまれておりました。
さらに、絵画を飾るように、そして無粋な脚を覆い隠すように、埋め尽くさんばかりにはめ込まれた宝玉の数々。
もちろん芸術品としての美しさが優先されますから、大きすぎる石は贅沢にもカットされて、他の石と組み合わされてチェンバロの装飾に使われました。
おかげで、宝玉の組み合わせ方は絶妙で、モザイク細工のようなその色合いは、教会のステンドグラスを思い起こさせるような美しさがございました。
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