295人が本棚に入れています
本棚に追加
旦那様の合図で、幾つもの銃口が彼女に向けられました。
報酬を受け取りながら逃亡し、高額な宝石を持ち逃げした罪人として、処刑されるのです。
「私の金糸雀。こうなってしまって、至極残念だ。最期に何か言い残すことは?」
「それならば、慈悲深いご主人様。」
彼女の願いはただ一つ。
「どうか、最期に一度。魂の芯から思い切り歌わせてくださいませ。」
旦那様は、お許しになられました。
涙を流し感謝した彼女は、処刑場の上に遥か広がる蒼空に向かい、高らかに歌い始めました。
さようなら 私の青い鳥
あなたは 光を浴びて
自由な空へ 飛び立つ鳥
さようなら 私の青い鳥
高く 高く 飛んで
空に 溶ける 幸せなままで
旦那様の合図で、轟音が鳴り響きました。
血に染まった彼女は、崩れ落ちました。
最後の最期に、天高く吸い込まれるような声を響かせて。
本望でしたのでしょう。
最初のコメントを投稿しよう!