雲雀は謳う

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旦那様の合図で、幾つもの銃口が彼女に向けられました。 報酬を受け取りながら逃亡し、高額な宝石を持ち逃げした罪人として、処刑されるのです。 「私の金糸雀。こうなってしまって、至極残念だ。最期に何か言い残すことは?」 「それならば、慈悲深いご主人様。」 彼女の願いはただ一つ。 「どうか、最期に一度。魂の芯から思い切り歌わせてくださいませ。」 旦那様は、お許しになられました。 涙を流し感謝した彼女は、処刑場の上に遥か広がる蒼空に向かい、高らかに歌い始めました。 さようなら 私の青い鳥 あなたは 光を浴びて 自由な空へ 飛び立つ鳥 さようなら 私の青い鳥 高く 高く 飛んで 空に 溶ける 幸せなままで 旦那様の合図で、轟音が鳴り響きました。 血に染まった彼女は、崩れ落ちました。 最後の最期に、天高く吸い込まれるような声を響かせて。 本望でしたのでしょう。
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