#1 出会い  

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#1 出会い  

「――……ろ、う……」 誰か、懐かしい存在に名前を呼ばれた気がして、ゆっくりと瞼を持ち上げた。 そこは、全てが黒に塗り潰された世界。 漆黒のように艶はない。 ただ、奈落の底のように暗い闇に閉ざされた世界。 そこにいるだけで、全てが黒く塗り潰されていくような。そんな不安感に侵されていく。 「――……銀、狼……」 再び名前を呼ばれた気がして、俺は辺りを見渡した。 「――っ! 銀星っ」 見えた光に手を伸ばす。 伸ばした瞬間その光は弾け眩しさに瞳を強く閉じた。 銀星……  大切な、大切な、なにのも変えられない。 俺の……――
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