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振り払われた手を元の高さに戻し、膝を折ってベッドに座っている彼の視線と合せる。
震えている手を握っても今度は振り払われなかった。
「おちつけ、大丈夫。俺はお前に危害は加えない」
「……ぁ」
そう言ってやれば、漸く正気に戻ったのか
揺れていた瞳も、震えていた手も落ち着きを取り戻した。
そんな彼の様子を確認して、立ち上がる。
机の上に置いて、少し冷めてしまった紅茶を手に取り、彼に差し出した。
彼は少し戸惑ったが、やがてゆっくりとカップを手に取る。
それを見て、手を離す。
もう一つ、机の上に置いている自分用のカップを持った。
一口喉に流し込む。
同じ様に、目の前にいる彼もゆっくりと口をつけた。
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