#2 一人 

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振り払われた手を元の高さに戻し、膝を折ってベッドに座っている彼の視線と合せる。 震えている手を握っても今度は振り払われなかった。 「おちつけ、大丈夫。俺はお前に危害は加えない」 「……ぁ」 そう言ってやれば、漸く正気に戻ったのか 揺れていた瞳も、震えていた手も落ち着きを取り戻した。 そんな彼の様子を確認して、立ち上がる。 机の上に置いて、少し冷めてしまった紅茶を手に取り、彼に差し出した。 彼は少し戸惑ったが、やがてゆっくりとカップを手に取る。 それを見て、手を離す。 もう一つ、机の上に置いている自分用のカップを持った。 一口喉に流し込む。 同じ様に、目の前にいる彼もゆっくりと口をつけた。
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