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自分でも何をどうしていいのか分からず、ただ枕に顔を埋めたままでいるとポケットに入れていた携帯が震えた。
ポケットに手を伸ばし、手探りで携帯を取り出してみると、煌々と表示されるのはさっきまで大いに乱れていた忍の名前。
どう考えても電話なんてできる状態ではなかった忍の姿を思い出して嫌な予感はしたけれど、とりあえず空気を入れ替えるにはいいかと思って受話ボタンをタップした。
「もしも……」
「ーーーーーっ」
耳をつんざく意味不明の雄叫びに、思わず耳から携帯を離した。
それでも漏れ聞こえてくる忍の声。
そりゃあ、あんなに酔えば簡単には醒めないだろうよ。
ゆっくりと携帯を耳に戻した。
「何?何か用?」
声のボリュームは落ちたものの、相変わらず忍は同じ言語とは思えない言葉を発している。
会話になることを諦めて黙っていると、急に声が遠くなってガサガサと音がした。
「……あ、あの、秋澤です」
突然切り替わった女性の声に一瞬戸惑いながらも、すぐに忍の彼女だと気づいた。
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