願うは、キミの幸せ

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「今日はどうも」 「あ、いえ、こちらこそ。すいません、こんな遅い時間に。忍さん、どうしても野崎さんに電話するって聞かなくて。さっきまで宮城さんにも掛けてたんです……」 迷惑をかけている張本人に代わって申し訳なさそうに謝る彼女の声の向こうから未だに叫びが聞こえている。 「ごめんね、忍を押し付けちゃって。連れて帰るの大変だったでしょ?」 「あぁ、はぁ、それなりに……」 電話越しにも分かる彼女の苦笑い。 「えっと……凛ちゃんだっけ?」 「あ、はい」 「忍のこと頼むね」 「えっ……」 どうして急にこんなことを言い出したのか分からない。 だけど、どうしても言いたかったんだ。 「あいつがあんなになるの、凛ちゃんだからだよ、きっと。俺たちの前でもあんな風になったこと無いもん。あいつなりに安心しきってんだと思うから」 「あの、えっと……」 「あいつの帰る場所でいてやって」 彼女の返事も待たない一方的なお願いに静寂が広がる。 でも彼女は約束してくれた。 「……はい」 確かな想いのこもった返事で。
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