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どんなに滅入っていても誰しも平等に月曜日はやってくる。
悩みなど無さそうな若人は今日も同士たちとキャッキャッとピンク色の話題に花を咲かせていた。
「おーい、パンツ見えるぞー」
階段の半ばに座って雑誌を広げている女子生徒たちに階下から声を掛けた。
「やだー、先生のエッチー」
「お前らの見たって何とも思わねーよ」
「先生、ひどーい」
ケラケラと笑い声が廊下に響いている。
「何をそんなに真剣に読んでんの?」
「えー、これ?そうだっ。先生、何年?」
「干支?ネズミだけど?」
「うっそ。私らと同じじゃん」
目の前の女子高生と同じ干支。
自分の年齢を嫌でも自覚する。
「あんねー。今月のネズミは“何事も自ら動け”なんだって」
「なんじゃ、そりゃ」
「先生も、うかうかしてると手遅れになっちゃうよー」
たかが雑誌の星占いならぬ、干支占い。
何も知らないはずの彼女たちの笑い声が1ミリも外れることなく弱っているところに刺さった俺は、身も心も引きずりながら職員室に戻った。
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