願うは、キミの幸せ

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「野崎先生、どうかしました?」 「えっ?」 職員室に戻って明日の授業の準備をしていると、隣の席に座る後輩の体育教師に声を掛けられた。 「さっきから溜め息ばっかりですよ?」 「あ、あぁ、ちょっと疲れただけ」 その場はそう言って切り抜けたけれど、本当は昼の生徒たちの言葉が不安を大きくさせていた。 「煮詰まったときは体を動かすのが1番ですよ?」 「そうかもな……」 いつもジャージ姿の彼は高校時代、甲子園を目指した元高校球児。 教師になった今でも青春時代が続いているかのように熱き情熱を常に持っている。 「先生は彼女とかいんの?」 「な、なんすかっ、いきなりっ」 大袈裟なほど驚いた彼は、自分に集まった視線をどうにかしようとハハハッと乾いた笑いを周りに振りまいていく。 「急に変なこと聞かないでくださいよっ」 どうにか収拾をつけた彼は顔を寄せて小声で話を続けてきた。 「で、いるの?」 手だけは動かしながら彼の答えを待った。
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