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「……い、いますよ」
「へぇ。どんな子?」
「野球部のマネージャーだった子です」
「じゃあ、高校の時から付き合ってんだ?」
「そうっすね。もうすぐまるっと8年です」
いつもの暑苦しい彼とは違う、はにかみ笑顔。
今、この瞬間も彼の脳裏には彼女の姿が浮かんでいるのだろうか。
「ケンカとかしない?」
「ケンカ?しますよ、しょっちゅう」
「どうやって仲直りすんの?」
「んー、自分が悪いと思った方から謝ることくらいっすかね」
そんな簡単なことで仲直りってできるのか。
「別れようとか思ったことないの?」
「もうダメかなとは思ったことはありますけど、別れようと思ったことは無いですね」
「結婚は?」
「たぶん、するでしょうね。他の子と一緒にいる自分なんて想像できないっすもん」
「……だよな」
「えっ!?先生もそう人いるんですか?どんな人?先生のことだから、めっちゃ美人なんじゃないですかっ」
ボソッと呟いたら、彼は身を乗り出して好奇心を露にした。
俺は彼の声を聞き流しながらノートにペンを走らせた。
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