願うは、キミの幸せ

15/18
前へ
/67ページ
次へ
「……い、いますよ」 「へぇ。どんな子?」 「野球部のマネージャーだった子です」 「じゃあ、高校の時から付き合ってんだ?」 「そうっすね。もうすぐまるっと8年です」 いつもの暑苦しい彼とは違う、はにかみ笑顔。 今、この瞬間も彼の脳裏には彼女の姿が浮かんでいるのだろうか。 「ケンカとかしない?」 「ケンカ?しますよ、しょっちゅう」 「どうやって仲直りすんの?」 「んー、自分が悪いと思った方から謝ることくらいっすかね」 そんな簡単なことで仲直りってできるのか。 「別れようとか思ったことないの?」 「もうダメかなとは思ったことはありますけど、別れようと思ったことは無いですね」 「結婚は?」 「たぶん、するでしょうね。他の子と一緒にいる自分なんて想像できないっすもん」 「……だよな」 「えっ!?先生もそう人いるんですか?どんな人?先生のことだから、めっちゃ美人なんじゃないですかっ」 ボソッと呟いたら、彼は身を乗り出して好奇心を露にした。 俺は彼の声を聞き流しながらノートにペンを走らせた。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

552人が本棚に入れています
本棚に追加