552人が本棚に入れています
本棚に追加
幼馴染みの忍や壱琉と久しぶりに飲んだ帰り道、見上げた空には雲がかかった三日月。
ぼんやりとした月明かりは、まるで俺の心みたいに照らす先を見つけられずにいるようだった。
忍と壱琉の隣には2人の想いを浴びた大切な子がいて、2人も今までとは違う想いで彼女たちを見ていた。
そんなことは難なく見抜いてしまえるのに、俺は1番大切にしたいものに限って上手く扱えない。
こっちが追いかけなきゃ永遠に逃げていくと分かっているのに、今回ばかりは追いかけていけなかった。
追いかけていいのかさえも分からずに遠ざかる背中をただ見送ることしかできず、離れていく距離に戸惑うばかりで。
あいつが何を思って、何を待っているのか。
そして、俺自身はどうしたいのか。
いろんなことを見失ってから、もうすぐ1ヶ月が経とうとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!