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「また亨ちゃんたちに意地悪されたの?」
美也の小さな手が慶太を優しく慰めている。
「だっ……て、とお……るがっ」
「呼び捨てにすんなっ」
「亨ちゃんっ」
年下の美也に一喝されて思わず怯んだ。
「んだよっ。おい、行こうぜ」
遠目から戦況を見守っていた壱琉と忍に声を掛けて、俺はさっさと戦線から離脱した。
「慶太たち、置いてきて良かったの?」
隣を走る忍が、いかにもらしい心配をする。
「いいんだよ。いつも、ちょこちょこ俺の後ついてくんの鬱陶しいんだって」
「亨のこと慕ってくれてるんだろ?」
「チビに慕われても嬉しくも何ともないし」
この時は、数年後には慶太にあっさりと身長を抜かれるなんて思ってもみなかった。
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