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小学校に上がって2年が経って、どこか大人になった気でいた俺は保育園児の慶太を疎むようになっていた。
同級生の壱琉や忍と遊んでいる方が楽しかったし、ことあるごとに親たちに「年上なんだから」って言われるのが嫌だったから。
「そう言えば香子ちゃんは?」
待ち合わせしていた近所の公園を出て、小学校の広いグランドに向かう途中、忍がいつもより1人少ない状況を気にかけた。
「さぁ。何か知らないけど行かないって」
「ふーん。何か変な感じだね」
「べつに、静かでいいじゃん」
情の欠片も無い壱琉の一言にツッコミ所を見つけられなかった。
4人の中で1番背が高くて、口も達者な香子に敵う者など誰一人としていない。
何か下手なことでも言おうものなら、呆気なく一蹴されるのがオチだった。
小学2年生にして人生のなんたるかを悟ったような冷静沈着な彼女を、どこか1歩引いたところで見ていた感は否めなかった。
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