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2人と別れ、遊びに行く時に待ち合わせていた公園の前を通りかかった時、ふと目をやったベンチに座る人影に目を見張った。
「美也っ」
沈みかけの赤い夕日が小さな頬を赤く染めている。
美也は俺の声に気づくなり、ベンチから飛び降りて全力で駆けてくる。
俺自身も公園の中に足を進めながら美也との距離を縮めていくと、美也の顔が涙でグシャグシャになっていることに気づいた。
「とお……る……ちゃっ」
駆けてきた勢いそのままに飛びついてきた美也の体を受け止めた。
「こんなとこで何してんの?」
俺の服をギュッと掴んで泣きじゃくる美也の顔がゆっくりと上を向く。
「慶……ちゃん、帰ってこな……いの」
「えっ?」
涙で声にならない言葉を1つずつ拾いながら事態を掴もうとしてもどうにもならない。
「とりあえず帰ろ?」
俺は美也の手を取って彼女の家へと向かった。
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