あの日、君に恋をした

11/23
545人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
結局、解決策も見つからないまま作戦会議はお開きになり、俺たちはランドセルを背負って昇降口へと向かった。 「あっ、宿題忘れてきた。先、行ってて」 下駄箱の直前で宿題に使うノートを机の中に忘れてきたことを思い出し、2人に断りを入れてから教室へと戻った。 表紙に落書きしたノートを手に持って再び歩く静かな廊下。 先に行っててと言ったのに忍たちは待っていてくれたらしく、下駄箱の影に背中が見えた。 嫌なことなど忘れて、今日も日が暮れるまで3人で遊ぼうと思った。 「おー……」 「私は亨が大嫌い」 駆け出そうとした足に落とされたのは酷く重い塊だった。 どんなに長い年月を共に過ごしても、壊れるのは簡単だ。 失ったものは戻ってこない。 そんなこと、知りたくもなかった。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!