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香子は絶対に自分からおねだりしてこない。
だから俺が気づいてやらないと不満は苛立ちとなって俺に返ってくる。
『キスしたいの？』
なんて、間違って聞こうものなら何が起こるか分かったもんじゃない。
「香子、こっち向いて？」
だから、あくまで俺が望んでいるように振る舞わないと彼女の唇には触れられない。
確かに俺だって望んでないわけじゃないんだけど、たまには香子からおねだりされたいって願望はある。
だけど、どうしても抵抗を見せないとプライドが許さないらしい彼女と攻防戦を繰り広げるのも嫌いじゃない。
「じゃ、もういいよ」
抵抗に屈したふりをする。
そしたら、香子の体が固まるんだよな。
ゆっくり後ろを振り返る香子を待って、少しだけ体を離した。
「何だよ？くっつくの嫌なんだろ？」
「べつに、嫌とは言って……ない」
笑えるくらい不安を覗かせるのは目だけで、それをすんなり認める言葉は出てこない。
だけど、やっぱり思うのは惚れてるのは俺の方なんだってこと。
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