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あれから1ヶ月。
香子とは会わないどころか連絡さえ取っていない。
ここしばらく俺以外の人間が踏み入れてない部屋。
俺以外の唯一の生命体である愛犬のチョコが大人しくゲージの中で寝息を立てていること確認すると、そのまま寝室に向かいベッドに体を放り出した。
枕を抱え、顔を埋めて思うのは1年前のこと。
その時、俺は何をとち狂ったのか何の布石も無く香子にプロポーズした。
あえて理由を挙げるなら、“付き合ってきた年月”と“結婚適齢期”。
焦りがあったわけじゃない。
だけど、その2つを合わせれば必然的に俺たちが迎えるゴールもそういうものだと思っていた。
そんな俺の思いとは裏腹に、香子の答えはノーだった。
「今は考えていない」と意思表示した香子の言葉。
香子の言った『今』から1年経って、何かが変わるわけでもなく、日に日に大きくなっていく空白に悩む日々が増えただけだった。
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