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「ガラス......好きなんですか?」
出会いは突然だった。
昔からキラキラと光が放たれるガラスが大好きで、仕事もトンボ玉工房に就職してしまうほど。
二十四歳の女真っ盛りな年頃なのに、休日は暇さえあれば、近所にあるガラス館に通っていた。
「すみません。......よくお見かけするもので、つい......」
まさか男性に声を掛けられるとは思っていなかった私は、当然フリーズ状態。
彼は照れ臭そうに頭を掻き、何かを決断したように大きく深呼吸をして私を見つめてきた。
「ハッキリ言って、ずっとあなたのことが気になっていました。あの、もしよかったら、その......一緒にガラスを見ませんか!?」
「え.......?」
ガッ、ガラス!?
途中までは立派な愛の告白だったはずなのに、随分と拍子抜けしてしまうような誘い文句に、ここがガラス館だということも忘れて、声をあげて笑ってしまった。
今思えば、一瞬で彼に惹かれてしまったのかもしれない。
顔を真っ赤にして、何がおかしいのか分からずに困り果てていた彼にーー。
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