キラキラ放たれる。

2/10
前へ
/10ページ
次へ
「ガラス......好きなんですか?」 出会いは突然だった。 昔からキラキラと光が放たれるガラスが大好きで、仕事もトンボ玉工房に就職してしまうほど。 二十四歳の女真っ盛りな年頃なのに、休日は暇さえあれば、近所にあるガラス館に通っていた。 「すみません。......よくお見かけするもので、つい......」 まさか男性に声を掛けられるとは思っていなかった私は、当然フリーズ状態。 彼は照れ臭そうに頭を掻き、何かを決断したように大きく深呼吸をして私を見つめてきた。 「ハッキリ言って、ずっとあなたのことが気になっていました。あの、もしよかったら、その......一緒にガラスを見ませんか!?」 「え.......?」 ガッ、ガラス!? 途中までは立派な愛の告白だったはずなのに、随分と拍子抜けしてしまうような誘い文句に、ここがガラス館だということも忘れて、声をあげて笑ってしまった。 今思えば、一瞬で彼に惹かれてしまったのかもしれない。 顔を真っ赤にして、何がおかしいのか分からずに困り果てていた彼にーー。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加