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息苦しそうに悶える祐理子の結った髪から、珊瑚の簪が抜けたのを斜目で瞥た崇文は、酒精で感覚を鈍くした指先を着物の脇から挿れた。途端、
「あかん!」
祐理子は甫きな声を上げると、敏速に身を捩った。
「…好きです。…あ
なたが」
酔いに任せるかのように、崇文は想いの丈を口にしていた。
「嬉しいけど、うち、…あかんのんどす」
横を向いた儘で語る祐理子の乱れ髪が、妙に窈窕に映った。
「…僕のことが嫌いですか」
「そうやない。…うちの乳房、…綺麗やないさかい」
「……」
「堪忍。帰っておくれやす」
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