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荒涼。
終わってしまった世界。
乾いた風が嘲笑するように吹く。
風の音と砂が舞う音しかしない世界に、デメコはいた。
「ねえ」
と彼女は聞く。
「どうして、わたしだけが生きているの?」
と。
問いかけは、砂のように弱い。
「なんでみんな、死んでしまったの?」
彼女はまた、問うた。
なぜそんな問いを抱いたのか――抱くだけに留まらず、口にしたのか――それは彼女すら知らないことだ。
彼女の名前はデメコ。
世界でひとりぼっちの少女。
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