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デメコはムクロに背中をあずけ、ゆったりと空を見上げた。
すでに陽は落ちている。無数の星が、無遠慮にデメコを見下ろしていた。それでもデメコは星々をじっと見つめ返す。何かに吸い込まれるような感覚がした。
「人は死んだら星になるって、私、むかし聞いたの」
「死んだら星に、か。それを信じているの?」
「ううん。信じてない。だって、死んで星になるなら、私たちの住んでいるこの星も、誰かの死骸だってことだもん」
――でも。
とデメコは言う。
「そうでも考えないと、辛かったんだと思う。死んで、もう二度と会えない人が、近くにいて欲しいっていう願いは、私にもわかるから」
「デメコも、辛いのかい?」
「……」
弱く、頷いた。
そしてそのまま足もとを見つめる。こんな荒れた世界の中で、傷ひとつない足を。
「私は、人が死んでいるところだけを見てる」
デメコは、恨むかのように自身の足を睨んだ。
そして手近な、大きめの石を手に取ると、
「あああああああああああああああああああああああああああ!!」
自分の足へと、叩きつけた。
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