第1章「デメコとムクロ」

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   デメコはムクロに背中をあずけ、ゆったりと空を見上げた。  すでに陽は落ちている。無数の星が、無遠慮にデメコを見下ろしていた。それでもデメコは星々をじっと見つめ返す。何かに吸い込まれるような感覚がした。 「人は死んだら星になるって、私、むかし聞いたの」 「死んだら星に、か。それを信じているの?」 「ううん。信じてない。だって、死んで星になるなら、私たちの住んでいるこの星も、誰かの死骸だってことだもん」  ――でも。  とデメコは言う。 「そうでも考えないと、辛かったんだと思う。死んで、もう二度と会えない人が、近くにいて欲しいっていう願いは、私にもわかるから」 「デメコも、辛いのかい?」 「……」  弱く、頷いた。  そしてそのまま足もとを見つめる。こんな荒れた世界の中で、傷ひとつない足を。 「私は、人が死んでいるところだけを見てる」  デメコは、恨むかのように自身の足を睨んだ。  そして手近な、大きめの石を手に取ると、 「あああああああああああああああああああああああああああ!!」  自分の足へと、叩きつけた。  
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