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「ああ……」
苦痛に顔を歪ませたデメコだったが、青ざめた顔はしだいにもとの色を取り戻す。痛みが薄れていくのを「よかった」と感じてしまうデメコがいた。
――よくなんか、ないのに。
見れば、足は元通りの形をしていた。
きれいで真っ白な――傷ひとつない足。
今日もまた、デメコは自分の体に傷を残すことができなかった。
永遠のこの体は、今日もまだ少女のままだ。
「私は、死ねないんだね」
そのつぶやきに、ムクロは何も答えなかった。
「知ってる?」とデメコ。
「人ってもともと死ぬようにできているんだって。テロメア、とかいうものが体にはあって、砂時計みたいに人が死ぬのをカウントダウンしているの。ホントは死ななくてもいいのに、老いて、死ぬようにプログラミングされているんだ」
ムクロはやはり答えない。
「死なないと、人は全滅しちゃうから。環境に適応した個体を作るために、何度も何度も死ぬの。そういうためのプログラムなの」
――ねえ。
何も答えないムクロに、デメコは聞いた。
「じゃあ、なんでみんな死んじゃったのかな」
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