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「元々こんな風になるとは思ってなかったみたいだね。落とし物扱いしようとしてたし」
東海先輩はトランプを集めながら話す
「君が昨日、ここに来た時にトランプを置いていったなら、ホコリが無いのも説明がつく」
もしかして
「昨日置いたなら、ホコリはないってことッスか?」
「そうだよ」
「安直ッス」
「一年にはそれ以外の考えがあるのか」
山岸先輩の言葉に反論できない
「でも、山岸先輩は」
「築地、それは如月がトランプを拾った時だね。
それは君がわざとしたんだろう。
普通は落ちたカードを混ぜるけど、そうしなかったのは」
「既に手の中に四枚をセットされていたから、か」
山岸先輩が呟いた
「落としたカードに目を向けさせて、カード四枚足したんだな。
カードを切ったら、不可思議な現象は起こらない。だからそのままカードを分けたのか」
その言葉に東海先輩は頷いた
「残念ながら、オカルトではない」
「心霊現象でもない、残念だ」
その割には楽しそうッスね先輩方
部長はまだトランプを弄っている
「あってるかい、境」
あってます
「これは『俺』が『自分でトランプを置いていった』だけの話ッス」
「そうなんだ…」
「築地先輩、期待させてすみません」
築地先輩にはちゃんと謝る
「それと、君はこれをトランプとすぐに当てた。普通、ボロボロのカードを見たら、トランプだと当てられないよ。
これは君の私物だね」
「そうッス」
怒られるかなぁ
東海先輩はイケメンスマイル
え、なんで?
「ありがとう、楽しかったよ」
そう言って渡された、五十三枚のトランプ
「…よかったッス」
笑って受け取って、袖口に隠してた最後の一枚を重ねた
「やっぱり」
その絵柄を見て部長は笑う
「当たってたッスか?」
「それは、富豪にも貧民にもなれる魔法のカードだからね」
東海先輩は、ジョーカーの絵柄を見てそう言った
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