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「入りたい部活が無いならオカルト部いいぞ。可愛い先輩いるし」
部活登録の数日前、兄貴がお得な情報をくれた
「マジで!」
「マジ。お前トランプマジック得意だろ?あれは先輩方に好印象だ」
「うわ良いじゃん!」
「賢いのにバカが二人いるから、それが騒ぐ」
「変人いるんだ…」
「そこまで変人じゃないぞ。あ、カードを増やすマジックとかどうだ。インパクト大きいぞ」
ないはずのカードが出てきたら、驚くだろう
「金持ちの東海にダイヤのK、
貧乏な山岸にはスペードの3、
美人な築地にはハートのQを見せたらいい」
「人に合ったカードを出すのか…面白そう!」
「あ、お前の使い古しのトランプは自分で出すな」
「使い古しはイカサマだと疑われるからだろ…どうしよ」
「カードを部室に置いてくればいい。部室には本とかタロットが散らばってるから、バレない」
「信じるよ、兄貴の言葉」
「君はオカルト部に入りたいんだ」
部活登録の前日、部室には東海先輩も山岸先輩も築地先輩もいなかった
代わりにいたのは、兄貴が名前も知らない先輩
「残念ながら私は部長じゃない。明日出直して」
「はい…本とか見ていいッスか?」
「面白いものは無いけど、どうぞ」
棚の本を見るフリをして、さりげなくトランプを本の近くに置いた
「あ、君」
気づかれた
「どうしてトランプを」
「失礼しました!」
逃げた
どうしてバレた
混乱した頭で廊下を走る
どうしようか
…どうにもならないじゃないか!
置いたってバレたら、印象に残るようなマジックができない
それはマズイ
柄になく願う
どうか明日、あの先輩が部室にいませんように…
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