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会社に着いたのは、始業の三十分前だった。
早く来すぎたかな、と思っていたら、デスクに山下さんが座っていた。
少しだけ気まずい感じもしたが、今更入らないわけにいかないので、声を掛ける。
「おはようございます」
「中澤さん!早いね。体調はもう大丈夫なの?」
「はい、なんともありません。ご迷惑お掛けしました」
と頭を下げた私を、彼は慎重に観察する。
今日は顔色も悪くないはずだし、声音も、自分で聞いていても明るいものだった。
疑う余地はない。
「うん、大丈夫そうだね。良かったよ。あの時の中澤さん、ゾンビみたいな顔してたから、本当にどうしようかと思った。人の顔色があそこまで悪くなるの、初めて見たよ」
そう言って彼は笑った。
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