第四話【母】

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母は、小さなことで取り乱しても、普段は常識人を通していた。 何事もなかったかように、私と、会社の心配までしている。 彼女がヒステリックになった時のことは、次の日には話を持ち出さないルールだった。 私たちは、リゾットを食べながら、穏やかな会話を続けた。 殆どは、母の仕事の愚痴だった。 今年入ってきた新人が、未だに使い物にならないらしい。 その子の全ての失敗は、上司である母に来るので、困り果てているのだと言う。
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