もっと囁いて

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文字を打つ指が震えて何度もタップを間違える。 [ 啓、俺が悪かった 考えさせろってどういう意味だ 俺はそんなこと考えたくない ] やっとの思いで作った文を読み返すことなく送信した。 少し考えさせて…。 別れたいのか? 文にすることすら怖くて打てなかった。 スマートフォン片手に返信を待つ。 10分…20分……1時間、3時間。 返信は来ない。 ベッドに横になるがスマートフォンを握ったまま待ち続けた。 うつらうつらしているうちに夜が明け、スマートフォンのアラームが鳴った。 ずんと重い。全身が鉛のようだ。 今までこんなに辛い朝を迎えたことはない。
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