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啓…啓、啓!
お前はいつもこんな痛みを感じながらセックスをしているのか?
いや、もっと痛いはずだ…。
歯形の付いた啓の掌…。
我慢なんてしないで欲しいだけだった。
ただそれだけだったのに…。
「君、大丈夫かね?」
頭上で心配そうな中年男性の声が降ってきた。
「救急車呼ぶかね?」
なおも心配そうな声に俺はノロノロと立ち上がり、「転んだだけですから。」と言い残してその場を離れた。
ここはどこだ?
外灯の少ない辺りを見渡した。
見覚えのある遊具やベンチに公園だとわかった。
しかもあのアパートから歩いて20分足らずの…。
俺たちにとって…。いや俺にとって特別な公園。
(たいして走れてねぇーし…。)
死ぬ勢いで走ったわりにはこんな様だ…。
自分の間抜けさと馬鹿さ加減に失笑する。
誰もいないことをいいことに、俺は笑えるだけ笑うとある場所を目指して歩いた。
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