もっと囁いて

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聴覚障がい だとその日に知った。 でもそんなことは俺にとっては対したハンディには感じなかった。 サイトで知り合っていたおかげか、初めて会うのに初めてではない感覚がこそばゆかった。 メール機能で会話するのはなんだか周囲には知られない内緒話のようで楽しい。 中性的な可愛い顔立ちと柔らかく優しい笑顔と、さり気無く寄り添いたがる猫のような仕草が堪らなく愛おしく、その魅力に俺は夢中になった。 サイトでもリアルでも、時間の許す限り一緒にいた。 可愛すぎる啓が欲しくて、キスもセックスもそこに至るまでの過程など無視して啓を求めて、欲して、そして貪るように愛した。 それを受け止める啓も俺と同じ想いなのだと、押し返す波のように俺に愛を返してくる。
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