もっと囁いて

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それでも欲が出る。 泥々と熱い欲の塊が満たされた心からもっと…。 もっと。もっとくれと欲が出る。 すべてを受け入れ、これ以上ないほどの愛情をくれる啓に、まだ要求するのかと。 自分でもわかっている。 だが、それでも欲が出るのは啓を愛しているからだと。思う都合のいい自分もいる。 簡単な願いだ。 無神経な願いだ。 啓がどんな顔をするのかわかるはずなのにその欲が溢れて止まらない。 ただ、啓の声が聞きたい。 ………ただ、それだけ。 「はぁー…」 俺は体内にこもるモヤモヤしたモノを吐き出すように深く大きく息を吐いた。 自分勝手だ。 ただの八つ当たり…。 (どうすんだよ…) いつも喧嘩になると啓が話し合いの空気を作ってくれる。 言葉の壁があるからスマートフォンのメール機能でやり取りする。
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