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自分で無理だと言ったばかりじゃないか。
噛み痕を残してまで食い縛るほど我慢するのは何故だ。
それにどんな声で鳴くのか聞いてみたいとも思う。
それは啓に対いて酷なのか…。
スマートフォンを取るように催促する啓を無視してボクサーパンツとジーンズを履いた。
〈怒ってるでしょ?〉
なおも啓は問いただす。
一旦気にし出したらそれが解決するまでしつこいことは知っている。
その事が善くも悪くもあり…。
今の俺には癪にさわるだけだ。
そんな俺を知ってか知らずか啓はシャツを着ようとする腕を掴み、液晶画面を向けた。
〈もしかして僕に飽きたの?〉
「…なわけねーだろ!」
検討違いな言葉に頭にきた俺はスマートフォンを奪い、怒りで震える指で文字を打ち込んだ。
〈セックスの時ぐらい声だせよ〉
それを投げ付けるように啓に渡した。
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