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「ええ!? それはどこで?」
「他人が見れば言動で分かりますよ」
蓮沼は自信をもって答えた。
「あいつは元々あなたの両親の財産を狙ってあなたに近づいたんです。犯行後はあなたを見張り、さらにあなたを通じて警察の動きを見張るため、行動をともにしていたんです」
タケルは両親が殺される前から自分のそばにいてくれた。
殺したあとも。
愛されているからだと信じていたのに、全部嘘だったなんて。
「ウ…」
この衝撃にミリは思わず嗚咽を漏らした。
声を殺して泣くミリを申し訳なさそうな顔で蓮沼は見た。
「言わない方が良かったですね」
「いいえ。お陰で今度こそ彼を吹っ切れそうです。もう思い出すのも嫌です」
涙を拭いて気丈に振る舞うミリを見た蓮沼は優しい目をした。
そのまなざしにミリはドキリとした。
「市役所で二人が婚姻届を出したことを知って、あなたから離れなかったのは遺産が目当てだと気付きました。でもあの男ならもし犯人じゃなくても、あなたは不幸になってしまうと心配になりました」
「……」
ミリは自分を心配してくれた蓮沼に心がときめいた。
でもこれは彼の仕事なのだと自分に言い聞かせた。
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