3年前の真相

3/3
前へ
/12ページ
次へ
その時ミリは遠くからネクタイを翻し、爆走してくる蓮沼の姿を見つけた。 アメフトで鍛えたという体は全身に力が漲っている。 『は、蓮沼刑事!? なぜここに!?』 蓮沼はあっという間に二人の元へ来ると、正確にタケルの顔へパンチを一発お見舞いした。 「グワッ」 タケルは衝撃でひるんだ。 その隙に蓮沼は素早くミリをタケルから引き離し、崖から遠ざけた。 「私の後ろにいてください!」 そう叫ぶと今度はタケルの体にタックル。 地面に倒れたタケルの頭と体を蓮沼は渾身の力で抑えこんだ。 タケルはもう抵抗できない。 ミリは蓮沼の行動に驚いて訊いた。 「どうしてあなたがここにいるんですか?」 「実はこれを拾いまして」 蓮沼はあのメモをポケットから出した。 「私のメモ!」 「これのお陰でお二人を尾行できました」 タケルは息巻いた。 「クソッ! このストーカー野郎! お前の目的はミリだろ! ミリを見張っていたんだろ! 市民への暴力で訴えてやる!」 蓮沼は澄まし顔で言った。 「どうぞご自由に。その前に殺人未遂で起訴してやるから。そして殺人罪でもね」 ミリはそのセリフにも驚いた。 「殺人罪って、どういうことですか?」 蓮沼は気の毒そうな顔でミリに告げた。 「気をしっかり持って聞いてください。この男があなたの両親を殺した犯人です」 「エッ」 ミリは息を飲んだ。 タケルは叫んだ。 「ミリ! こんなお前を付け狙う男の言葉など信じるな! おい! 俺がやったという証拠はあるのか!?」 「俺が見張っていたのはお前だ。証拠はある。それは警察でじっくり見せてやる」 遠くからパトカーのサイレンが聴こえてきた。 「とりあえず、あれに乗ろうか?」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加