まなざしは温かく

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ミリはタケルと同棲していた部屋を片付けていた。 あれからタケルは警察で両親が殺された日に近所の防犯カメラに映っていたことと、犯行時刻のアリバイがなかったことから追及され、ようやく自分がやったと自供した。 ミリは両親の死体を見つけた直後、タケルに助けを求めて部屋に上げていた。 そのため現場に残されたDNAと一致してもタケルは容疑者から外れていた。 タケルはミリと結婚し、両親の遺産を手に入れようと岬でミリを殺そうとしたことも認めた。 ミリはプロポーズされた夜に見た両親の悲しそうな夢を思い出した。 あれは娘の身を案じていたのだろう。 メモを落として蓮沼に拾わせたのも両親の仕業だったのかもしれない。 両親はあの世からずっと見守ってくれていた。 蓮沼がやってきた。 「体調は大丈夫ですか?」 「はい。もう大丈夫です」 タケルが犯人だと決定してからずっと体調を崩して入院していた。 「婚姻届は無事無効になりました」 倒れてしまったミリに代わって、蓮沼が市役所に掛けあい、届けをなかったことにしてくれた。 「いろいろ助けてくれて本当に感謝しかありません」 蓮沼のお陰で犯人と夫婦にならずに済んだ。 「でも本当のところ、どうしてタケルが犯人だと思ったんですか? 前の刑事さんは全然気付かなかったのに」 「それはお二人を見ていて気付いたんですよね」 蓮沼は鼻の頭を軽くこすりながら思い出すように言った。 「この男はあなたを愛していないなって」
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