第1章

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第1章

激しい雨が振り珍しく何も収穫がなく、今日も殴られるのか。と思いながら家路についた。家につき気持ちのせいかドアがとてつもなく重く感じた。 「ただいま」声にならない声で僕は帰ったことを告げた。 玄関を開けた直後からの記憶が無い。気が付くと僕は6歳にして牢屋に入れられた。牢屋に入れられた理由は親殺しだそうだ。でも何故か救われた気がした。なぜなら、もう殴られなくていいこと、毎日ごはんが食べられること。これが普通の生活なのか幸せなのかもしれない。救われた喜びと人を殺した罪の重さで僕は泣いた。 それからどれぐらい牢屋にいたかわからない。1人の小奇麗な男がやってきた。「ここから出て新しい人生を送るつもりはないか?」優しい笑顔でそう告げた。 その笑顔は僕の両親がギャンブルで勝った時によく似ていた。僕は無意識に「このままのほうが幸せです。」そう答えた。彼は「また来るよ」そう告げて振り返って歩き出したかと思いきや、たちどまり、「そうそう、やることもないだろうこれでも読んでおくといい。暇つぶしになるかもしれないよ」彼は1冊の本を渡してきた。 「看守さん本ぐらいなら渡しても問題ないだろうか」と伝え、看守は「神父さんにお願いされてしまっては断れませんよ」どうやら彼はこの村の神父のようだった。 手渡された本はかなり古いが、表紙は本皮で覆われおり、とても高価なものに見えた。しかし、不思議と昔から僕のものであるような手にしっくり来る感じがした。 それから神父は時折きては簡単な話をし、時には看守と僕にお菓子をくれるなど良くしてくれた。しかし僕は信用することはなかったが、何度も足を運ばせるのも悪いなと思い。いつしか神父と教会に住むことになった。僕には教会の物置小屋を与えられた。
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