疑われた出発

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疑われた出発

登録を済ませ教会に帰った頃には既に夜になっていた。きっと神父がみんなをなだめて家に返したのだろう。あれだけ騒がしかった教会内も静けさに包まれていた。神父に明日出発することを告げた。 出発の朝問題が起きた。 「ギル君、実は今朝から、教会の金の聖杯が行方不明なんだ。何か知らないですか?夜中に物音がしていたのですが君が準備をしているだけかと思って特に見に行かなかったんだ。」僕は素直に「昨夜は出発の準備をした後、今までの感謝として教会の掃除をしていましたが特に変わった様子はありませんでした。」 「すまない。昨晩まではあったのだが・・・。みんなが不安になっているタイミングで泥棒が入ったのかもしれない。」神父はなにか判断するか悩んでいるように話した。僕は「憲兵を呼んで調べてもらいましょう」出発の日付はずらしても問題はない。当分町のみんなから冷たい言葉を浴びせられるだけだ。もう慣れている。 「今回は諦めることにしましょう。君の門出にケチを付けたくないし。君がまた疑われてしまうようなことはしたくない。ただ、自分の管理が甘かっただけですから。」と神父は自責の念に包まれながらそう僕に告げた。 「僕は全然平気です!犯人を探しましょう!」今まで助けてくれた神父を困らせる訳にはいかない。しかし、神父は頑なに断った。「その代わり2つお願いしてもいいですか?」僕はもちろん頷く。「きっと聖杯は売りに出されるはずです。旅先で見かけたら教えて下さい。あとひとつは魔王を倒して夢を叶えてくださいね。」僕は「必ず約束します!」と告げ教会を出発した。
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