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あら、知り合い?と、吉邑さんの声がかかる。それに対して、嬉しそうに笑う秋典。その光景に、セナも喜びを隠せないようだった。
「部長。なら俺ではなくて、佐野さんが面倒見てあげればいいのではないでしょうか?」
秋典の後ろに隠れるように、言葉を発したのは彰紀だった。どこかの御曹司のような風貌をしている彰紀の印象は正直、最悪だった。ましてや、言葉は丁寧でありながら携帯をカチカチと打ち込みながらさも面倒だと言わんばかりに発したことはあまりよろしくないと感じられる。
「こら、松井。お前なぁ…」
秋典(=佐野秋典 )は、大きなため息をついて、彰紀(=松井彰紀 )に小さく呟いた。
「俺、何かおかしなことでも?だってお知り合いでしょう?」
「佐野には、佐野の仕事があるの。松井、貴方が彼女と行動していい?」
「ムリですよ。佐野課長さんのほうが絶対によろしいと思います。」
セナは、吉邑と佐野、松井の三名のやり取りを呆然として見ていることしか出来なかった。その時、同じ部署の女性社員が、セナに話しかけてきた。
「んとね、わたしは、辻井綾(つじいあや)。それで、佐野さんが課長さん。松井くんは3年目のわがままくん。」
辻井は、にっこりと微笑みを浮かべるとしばらくこっちに来て一日の流れを説明するといいセナに会社の理念やらなんやらを詳しく教え始めた。一方で、吉邑らは三人でまだ話しているようで中々まとまらない様子であった。
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