読者第一号

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その中に一際目立つようにして、 『期待の新人、浅賀彰人! 今期、新作一番はこれ!』   と、大々的に書かれた一枚の紙が視界に映る。その下には他の本の二倍もあろう束が重ねられていた。   一応言っておくが僕のペンネームは朝日秀一だ。   同じように新作を出している僕としては邪魔で仕方がない一冊の一つである。これも実力の差と言うものか……。   それから不服そうに新作本の数々を見ていくと、やがて端に追いやられたかのように三冊の束を持った僕の処女作が見つかった。   がっかりだ。   もう少し分かりやすい所に置いてはもらえないだろうかというぐらいの位置づけである。   これはもう店長に物申すしかないなと思っていたが勇気が出ず、一冊を手に取り、こっそり目のつきやすい所に場所を変えました。してやったぜ。   ちょっとした達成感を得た僕はしばらく様子を伺う事にした。 「……あれ?」   休日の朝である。客は今の所僕しかいない。 数分待ってみるも、誰一人として客が来なかった。だからか、店員に熱い視線を送られている……気がする。
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