シスターズ・ロイド

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返答はない。だから賢は何かおかしいと外部からアンドロイドの制御を行えるリモコンを懐から取り出した。 「これが何か分かるか? これはお前が私の指示を聞かなくなった場合に強制的に制御信号を送って言う通りに動作を実行させる。言うならば制御信号送信機だ」   ポチっ、とリモコンのスイッチを入れる。しかし……エアの状態に変化はなかった。   リモコンが壊れている。そう言う訳ではない。何か理由がある。その理由が賢の推測通りであるのならば。 「明日香君! 今、エアに向かって送られているだろう制御信号は一体どこから送られている?」   あらゆる信号をキャッチし、その信号を送っている位置及びその信号の内容を確認する機器を正面玄関に設置していた賢は別室にて明日香にその計測を行わせていたのである。計測結果として出た送信信号の送信先アドレスが正面玄関にいる賢から発信された物以外であったのであれば、外部から別の者が制御信号を送り、エアの意思関係なく操っている事になる。結果は……。 『黒です。送信先アドレスはここから数キロメートル先……株式会社テムジック本社から送られています。誰が送信しているのかはまだはっきりとは分かりませんが、場所は確かです』   通信機から聞こえる明日香の言葉を聞き、賢は動揺を隠せなかった。   賢がアンドロイドを強制的に従わせる為の制御信号を完全に遮断させて、犯人の制御信号だけが一方的に送られるというシステムを構築したのであろう。   例えば指紋認証システムのようなある一種の制御信号のみを信号として受け取り、それ以外を信号として判断しないようにしているのだ。さすがの賢も自分がコントロール下に置いていたアンドロイドが知らず知らずの内に乗っ取られていたとなっては悔し顔を浮かべざるを得ない。
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