シスターズ・ロイド

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「はい、マスター」 「??」   明日香は賢のセクハラ命令の意味がまるで読めていなかった。だから首を傾げる。 「アリア、お前は未完成だ。羞恥心、それがない事が分かった。いいか、アリア。どんな命令であってもそれに従うかどうかは自分の感情で判断しろ。嫌だと感じたらそれに従うな。そして、これからは恥ずかしいと感じたのならばその実行を自らの判断で拒否しろ。良いな、分かったな、アリア」   賢は少し悲しそうだった。まだ足りない点に気付いてしまった事に。まだ人間の少女とは違う事に。   賢の夢はアンドロイドを学校へと通わせる事だ。人間と同じように喜び苦しみを分かち合い学び成長する。それを真に望んでいるのだ。だから感情表現率七〇%であるアリアの残りの三〇%を埋める方法それがいくら考えても思いつかない事にただ苛立ちを感じていた。 「すみません、マスター。それは出来ません。私は私の判断でマスターの命令に従う事を決めました。起動した今、私はマスターに私の全てを見て欲しかった。ただそれだけです。恥ずかしい。けれど、マスターの為なら我慢が出来る、私は先ほどそう判断し、実行へと移しました。だから私はマスターが思っている以上に不出来ではありません」   ふっ、と悩みをどこかへと飛ばしたように一息ついた賢は問う。 「じゃあ答えろ、アリア。私は君の内部設計を行っただけでそのように私に尊敬の念を抱くようにとは設計をしてはいない。なのに、なぜアリアはそう判断した?」   アリアは考えるように一瞬動きを止めた、そして、 「わかりません。ですが、それは尊敬の念ではないと思われます」
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